米国株をはじめとした海外株式への投資が、個人投資家の間で広がりを見せています。
私も日本株よりも海外株の方が多いです。
日本国内の株式に比べて、高配当銘柄が多かったり、成長性のある企業が多かったりと魅力的な点が多くあります。
しかし、海外株式に投資する際に見落とされがちなのが「配当金に対する課税」です。
国によって税制は大きく異なり、思ったよりも手元に残る配当金が少ない…というケースも少なくありません。
本記事では、「海外株の配当金にかかる税金」をテーマに解説します。
各国の配当課税率一覧(2025年)
とりあえず、一覧でまとめたかったので表にします。
ほとんどの人が日本の証券会社を通じて海外の株を買っていると思います。
その場合、日本の税金と海外の税金の両方がかかります。
しかし、NISA口座の場合は日本の税金がゼロになるので、海外の税率だけになります。
国名 | 税率
(NISAの場合はこちらだけ) |
実質の税率 |
日本 | 20.315%(NISAの場合はゼロ) | 20.315% |
アメリカ | 10% | 28.28% |
カナダ | 15% | 32.26% |
メキシコ | 0% | 20.315% |
コロンビア | 0% | 20.315% |
ブラジル | 15% | 32.26% |
アルゼンチン | 0% | 20.315% |
イギリス | 0% | 20.315% |
オランダ | 15% | 32.26% |
デンマーク | 27% | 41.83% |
ノルウェー | 25% | 40.24% |
ギリシャ | 0% | 20.315% |
バミューダ | 0% | 20.315% |
オーストラリア | 0% | 20.315% |
南アフリカ | 20% | 36.25% |
台湾 | 21% | 37.05% |
税金0%の国がお得
税金が取られるということは手取りが減ってしまうということです。
NISA口座を活用することはもちろん、税率が低い国の株に投資することも良い選択肢だと考えています。
投資する際にオススメの国
私がオススメする海外の国は
・アメリカ(世界No1の国で世界的な会社がたくさん、高配当の企業もあり、税率も10%と低め)
・イギリス(税率0%! 高配当の企業もあり)
・オーストラリア(税率0%! 高配当の企業もあり)
上記の先進国に加え、
・コロンビア(税率0%! 超高配当な株あり)
・ブラジル(税率は15%だが超高配当な株あり)
の新興国です。
以上の5か国です。
海外株の配当金についての概要
海外の配当金について解説です。
特定口座やNISA口座であれば、勝手に税金は引かれて口座に入ってくるので一覧で表示した税率を知っておくぐらいで良いのです。
ただ、日本株の配当金とは異なる部分があります。
課税されるタイミング(現地課税と国内課税)
海外株式から配当金を受け取るとき、その金額に対して課税されるタイミングは「2段階」に分かれています。
「現地課税」と「国内課税」です。
まず、配当金が支払われる時点で、その国の税法に基づいて源泉徴収(=現地課税)が行われます。
たとえば、アメリカ株の配当金を受け取る場合、通常は10%(日米租税条約が適用された場合)の税金が、配当金から自動的に差し引かれます。
その後、日本国内でも配当金は課税対象となり、所得税および住民税が課されることになります(「国内課税」)。
この国内課税分は通常、証券口座内で自動的に引かれる「源泉徴収あり特定口座」であれば手続き不要で処理されます。
つまり、海外株式の配当金には外国と日本、2つの国で課税されるということが基本的な仕組みです。
二重課税とは?
上記のように、同じ配当金に対して「現地(外国)」と「日本」の両方で税金がかかることを「二重課税」と呼びます。
たとえば、アメリカ株の配当金を受け取った場合、10%の米国課税に加えて日本国内でも約20%(所得税15.315%、住民税5%)の課税が行われます。
このように、同じ収入(配当金)に対して二重に税金がかかる状態が生まれてしまうのです。
二重課税をそのまま放置してしまうと、本来受け取れるはずだった利益が目減りしてしまうため、税金面での対策が重要になります。
そこで活用されるのが「外国税額控除」という制度です。
外国税額控除の概要(日本の個人投資家向け)
外国税額控除とは、海外で支払った税金を、日本の税金から差し引くことができる制度です。
これにより、二重課税による負担をある程度軽減することが可能になります。
具体的には、たとえば米国株の配当で10%の現地課税があった場合、日本での確定申告時にその10%分を「控除」申請することで、国内で支払う税金を減らすことができます。
ただし、外国税額控除を受けるには、以下のような条件と手続きが必要です
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確定申告をすることが必須(特定口座の源泉徴収ありを使っている場合でも申告が必要)
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「外国税額控除に関する明細書」などの書類を作成・提出
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控除には上限があり、日本での課税所得や納税額によって制限されることもある
また、全額が控除されるとは限らず、場合によっては一部しか取り戻せないこともあります。
それでも、放置するよりは手元に残る配当が増えるため、外国株投資をするなら必ず覚えておきたい制度です。
NISA口座だと使えない
「二重課税」による軽減負担を行うので、NISA口座の場合は現地(外国)の税率しかかかりません。
二重課税とならないので、NISA口座で持っている株の配当金については外国税額控除が使えません。